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No.26 植物リグナンのフィトエストロゲンとしての作用には腸内細菌が大きく関わる

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フィトエストロゲンとは植物が生合成する物質のうち,摂取した生物の体内で内分泌された女性ホルモンのような機能を有する物質のことをいい,摂取するヒトにとっては外因性エストロゲンということになる。作用としてはエストロゲン様,抗エストロゲン様作用を有し体内環境により,相反する方向での作用が認められることからエストロゲン様作用のモジュレータとしての役割が期待される。

フィトエストロゲンとしてはイソフラボンがよく知られるが今回紹介する植物リグナンもそのひとつとされていいる。

ヒトの腸内にはたくさんの腸内細菌が存在し,健康へ影響を及ぼしている.ヒト腸内細菌は摂取した食物や薬の成分を代謝する役割をもち,植物リグナンについても同様に代謝する。ゴマやフラックスシードなどに多く含まれる植物リグナンは女性ホルモン様作用を示し,イソフラボンと同様,フィトエストロゲンに分類されている.しかし,多くの植物リグナンはそのままではエストロゲン作用及び抗エストロゲン作用を示さず,ヒト腸内細菌によって代謝され,マンマリアン・リグナンであるエンテロラクトンとエンテロジオールになってからフィトエストロゲンとしての役割を果すことがわかってきた。

エンテロラクトンは選択的エストロゲン受容体(ER)アゴニストとして報告されている.生理的濃度でエンテロラクトンはin vitro でERを介す転写を活性化させ,in vivo では組織特異性を示した.しかし,エンテロラクトンとエンテロジオールはアロマターゼ,5α-リダクターゼ, 17β –ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのようなエストロゲン合成酵素を抑制することで抗エストロゲン作用を示す.また,エンテロラクトンとエンテロジオールはsexhormone-binding globulin(SHBG)に結合親和性をもち,5α-ジヒドロテストステロンの結合を防ぐことが確認された。

また,HepG2 肝がん細胞においてエンテロラクトンによってSHBG の合成が促進されるという報告や,エンテロラクトンは血漿SHBG 濃度と正の相関を示したが,血漿遊離テストステロンとは負の相関が認められたという報告もあり,SHBG に対して相異なる働きを示すことからマンマリアン・リグナンはモジュレータとしての役割をもつことが示唆された。

この論文では,植物リグナンがエストロゲン作用を発現することにはヒトが摂取した後に体内の腸内細菌によって代謝されマンマリアン・リグナンになることが重要であると考察している。

本研究報告のように,植物化学成分をそのものだけでとらえるのではなく体内の環境が機能性に大きく関わることは大変興味深い。

〔参照論文〕Jong-Sik JIN, Human Intestinal Bacteria and Phytoestrogenic Lignans. Journal of Intestinal Microbiology. 2012. 26 (3); 171-181.

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