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No.28コリアンジンセンの成分ジンセノシドRg1は星状膠細胞におけるコルチコステロン誘導性のギャップジャンクションの機能不全を緩和する

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並んだ細胞の細胞膜にはコネクソンと呼ばれるタンパク複合体の末端が複数並んでおり、橋渡し構造を作っています。このコネクソンがチャネルとなり、無機イオンや小さい水溶性分子はここを通って隣接細胞の細胞質から細胞質へと直接移動することができます。これはまた、細胞同士を電気的に結合するため、心筋組織などの興奮伝播にも関わっているとされ,この部位や機能のことをギャップジャンクションといいます。

このギャップジャンクションがあることから,隣接する細胞での代謝の共役と電気的共役(電気活動と代謝活動を一本化する)が可能となり,刺激や信号に対する反応を共有したり,栄養物質や代謝中間産物を合成できない隣接細胞へ移動したり,細胞間の協調性が生まれることがわかっています。

例えば,哺乳類の出産における子宮筋の収縮機能にはギャップジャンクションが大きく関与しており,分娩において、子宮筋細胞を同調して強く収縮させることから,分娩の直前から分娩の間、子宮筋コネキシンの量は大きく増えることが知られています。(図は理化学研究所の記事より)

コリアンジンセンはアダプトゲンハーブとされ,ストレスなど環境からの刺激に対する体の適応性,抵抗性を高めることで知られています。

今回紹介する論文は、コリアンジンセンの主要な生物活性成分の1つであるジンセノシドRg1(Rg1)が動物モデルにおいて神経保護効果を有するというこれまでの報告をもとに、そのメカニズムを探ろうという研究についてのものです。

先述のギャップジャンクションを介した細胞間コミュニケーション(GJIC)の機能不全が、うつ病の潜在的な病因メカニズムであることがわかってきたことから,本研究ではRg1の抗うつ薬様作用がギャップジャンクションに関連しているかどうかを検討しました。以下に紹介します。

方法:ラット前頭前野皮質培養物を50μMCORTで24時間処理してギャップジャンクションの損傷を誘発させた。そのCORT処置の1時間前にRg1(0.1,1または10μM)またはフルオキセチン(1μM)を添加し,どのようになるかをみていった。ギャップジャンクションの機能への影響を調べるために,スクレイプローディングおよび色素移動アッセイを実施し,またウエスタンブロットを用いて、ギャップジャンクションの主成分であるコネキシン43(Cx43)の発現およびリン酸化の検出を試みた。

結果:その結果,CORTによる24時間の星状膠細胞の処理は、GJICを阻害し、Cx43の発現を減少させ、セリン368でのCx43のリン酸化を用量依存的に増加させた。そして,1μMおよび10μMのRg1での前処理は、前頭前野の皮質および海馬からのCORT処理した星状細胞におけるGJICを有意に改善,これにはCx43発現のアップレギュレーションおよびCx43リン酸化のダウンレギュレーションが伴うことが確認された。

結論:これらの結果より、コリアンジンセンが含有するジンセノシドRg1が,CORT誘発ギャップジャンクション機能不全を軽減し得ることを示し,うつ病へのケアに効果を発揮する可能性が示唆された。

体への刺激に対応して反応、適応する力を強めるアダプトゲンハーブであるコリアンジンセン。この体の基本に働きかける効能を発現するメカニズムとして、コリアンジンセンの成分ジンセノシドのギャップジャンクションへの作用が大きく関わっていることが示唆されたのはとても興味深いことと思います。

 

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